「2004秋冬パリ・オートクチュールコレクションレポート」

Christian DIOR クリスチャン・ディオール
ジョン・ガリアーノの今回のテーマはヨーロッパの王室。大きな王冠をかぶった王妃でスタート。王冠に毛皮、マーメードラインのドレス。エリザベス朝時代のような16世紀スタイルが続き、ダイヤモンドの王冠も数多く登場。最前列には、ジュリエット・ビノシュ、ダイアン・クルーガー、ケイティー・ホームズ、オプラ・ウィンフリー、Ivana Trump、ヴァル・キルマー、エリザベス・ハーレー。Ivanaは「ファンタスティック」と叫び、ヴァルは「何を言えばいいんだい?」とコメント。
今回のショーは「オートクチュールは、まだまだ続く」というディオールのメッセージと受け止められています。ガリアーノはやっぱりやってくれます。コルセットがあまりにきつかったのでモデルの何人かは、ランウェーから戻った直後に気絶したそうです。Alek Wekはショーの後に吐き、Karolina Kurkovaは通路から落下。Kurkovaがつけていたグッズがあまりに重かったので、彼女を救出するには4人がかりだったとか。

CHANEL シャネル
カール・ラガーフェルドのシャネルの会場は格納庫。そこに「C」のロゴが付いた立方体が置かれた白いセット。ツイード、丸首のシャネルスーツ、千鳥と服はシックながらモデルはリリー・コールを中心に、白いアイシャドーにアライグマのようなアイメイクで幼い雰囲気。色はモノートン系でツイードがふんだんに使われる。四角いジュエリーボックスのようなバッグも注目で、チュニックドレスには白と黒のストライプが入りアール・デコ風。

Valentino Garabani ヴァレンティノ・ガラヴァーニ
ヴァレンティノは、白のシースルードレスで始まるエレガンスなコレクション。テーマは「ダイヤモンド」。白いゴージャスな毛皮、中盤は黒のイブニング、後半は再び黒と金。赤のドレスで締めくくった。
まさに彼の顧客のためのコレクション。海外プレスは「エレガンスはお金で買えない」と表現していました。

Jean Paul Gaultier ジャン・ポール・ゴルチエ
テーマは「三銃士」。今回のゴルチエで注目なのはケープ(マント)。カウガールやロビンフッド風のモデルが、テンガロンハットにニーハイブーツ、キルトドレスで革、ヴェルベット、毛皮、フェルトのケープをまとう。「フリーダムを感じてください。それは移動でき、飛び去ることもできる」とゴルチエ。彼は剣を振る真似をしながら、「カチン、カチン、カチン。私たちは戦っています、クチュールのために」と語った。最前列にはクロード・ポンピドゥー、エリザベス・ハーレー、トレーシー・エミン、ヴァル・キルマー、カトリーヌ・ドヌーブにジェーン・バーキン、エルメスのジャン・ルイ・デュマ。

LACROIX ラクロア
ラクロアは、マニッシュ風のパンツルックでショーはスタート。モデルはみな、綿菓子というか帽子のようなヘアスタイルで、色はカラフルでゴージャス。マーメードラインや着物ガウン、サテン、イブニングドレス。「オートクチュールは私たちのハート&ソウルであり、進まなければいけないことを確信しました。それはすべてが始まった場所です」とラクロア。「 しかし、私たちは現実を直視しなければなりません。クチュールハウスは、クライアントなしでは生き残ることは出来ません。お針子の手は、クライアントが服を買ってくれることで生計を立てています。今回はあえて、(コスト削減を考え)一回目のスケッチを単純にしました。これは新時代です。私たちは変わる必要がありますが、常に、魅力は維持していかなければなりません」。

ANNE VALERIE HASH アン・ヴァレリー・アッシュ
白い清楚なアシメトリードレスで始まり、白と黒のモノトーン主体ながら一部、シースルー素材を用いてシックながらセクシー。メンズラインも同時に披露。

Torrente トラント
トラントはエドーワーディアン朝で、19世紀の画家John Singer Sargentを思わせるコレクション。ふくらんだ袖の黒のウールコート、フロントに「ラリック」のクリスタルが200個もつけられたドレス。フィッシュテールのロング・スカート。デザイナー、Julien Fournieは、「ヘンリー・ジェームズやD.H.ローレンスの小説のロマンチックなヒロインをイメージした」と語った。

Carven カルバン
カルヴァンのPascal Milletはニューヨークの冬をインスピレーションしたコレクション。「このコレクションは、多くの透かしとボリュームを用いて仕事をしています。非常に豪華で多くのカシミア、シルク、刺しゅうや予想できない素材を扱いました。色は本質的に黒ですが、もちろんカルヴァン・グリーンも使っています」とミレー。スパンコールの黒いシルクのオーガンジーに黒いジャージ。刺しゅうの黒のカシミア・ビスチェ、深紅のミンク・ジャケット。

ハナエ・モリ
森英恵のショーのテーマは「イースト・ミーツ・ウエスト(東西の出会い)」。森が海外進出第1弾として、65年にニューヨークで開いたショーを、地元メディアが評した言葉。オープニングは背中に歌舞伎役者の版画をあしらった黒いサテンのドレス。ステージでは、象徴であるチョウを大きくデザインしたカシミヤのワンピースや、歌舞伎をモチーフにしたサテンのジャケットなど新作約30点のほか、80年代制作のビーズ刺ししゅうのドレスを披露。日本風の花をプリントしたちりめん生地のスカート、かんざしや下駄、鶴のモチーフなど、従来以上に日本を打ち出した。一方で、シャガールの絵をプリントしたドレスも登場。最後に、森はウエディングドレスを着た孫娘の泉とともに現れ、「世界中からパリに集まる人たちの厳しい目に育てられ、支えられての27年間でした。これがひとつの節目です。さよならを言う時が来ました。私はパリではもう働かないかもしれませんがまた、必ずここに戻ってきます」と話した。オートクチュール組合のディディエ・グランバック会長は「日本の美をフランスに紹介し、フランス人以上にオートクチュールの規範や伝統を守った。引退は残念だし、寂しい」とコメント。さようなら、マダム・バタフライ。あなたの美とエレガンスは永遠です。
http://www.sankei.co.jp/edit/bunka/2004/july/kiji/08hanaemori.html
http://www.asahi.com/offtime/person/TKY200407080159.html
http://www.yomiuri.co.jp/culture/news/20040708i407.htm
http://www.mainichi-msn.co.jp/kurashi/fashion/news/20040708dde001040034000c.html
http://www.zakzak.co.jp/top/2004_07/t2004070812.html

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