「2005春夏パリ・オートクチュールコレクションレポート」

Christian DIOR クリスチャン・ディオール
ディオールのジョン・ガリアーノは、アンディ・ウォーホールをイメージしたコレクション。シンプルな黒のタンクトップにブーツを履いたJacquetta Wheelerでスタート。ボーダーのタンクトップにパンツルックとシンプルなスタイルが続き、60年代のコート、ミニドレスとそれはマリー・クワント風で、ウォーホルのミューズ、Edie Sedgwickを思わせる。それが中盤には巨大なガウンに鳥かご風ヘアスタイルで、オーストリッチ、豪華な刺しゅうのドレスと皇帝ナポレオンに皇妃ジョセフィーヌのスタイルに一変。「60年代シルエットとエンペラーラインを比較したかった。ボブ・ディランはかつて『アンディ・ウォーホールはラグの中のナポレオン』と語りました」とガリアーノ。ラスト、ガリアーノはナポレオンスタイルで登場した。最前列にはMarianne Faithfullにソフィア・コッポラ、モニカ・ベルッチ。流れる曲はディランの「ライク・ア・ローリングストーン」のミキシング。招待客を減らして作られたスペースにはロックバンドに5人のバイオリニスタ。
結果的にゲストは作品を間近で見ることになり「私はゲストにサテンの服が奏でる音やタフタのサラサラいう音を感じて欲しかった。それこそが精巧な刺しゅうの詳細を経験できるのです」とガリアーノ。
「真のクチュールのエッセンスを表現するために、期待されていたのを打ち壊しよりオープンなものを示す時です」。
最初、おっと思いましたが、後半のお姫様スタイルはガリアーノらしさが出てました。リリー・コールのオレンジの19世紀風ガウンはバロック絵画を思わせる感じでしたし、リリー・ドナルドソンの王冠をかぶったリボンのお姫様は完璧です(リボンの騎士を実写化するときには是非、彼女にサファイア役を)。

Armani Prive アルマーニ・プリヴェ
初のオートクチュールである、アルマーニはマーメードラインが繰り返し登場。スワロフスキー・クリスタルを随所に施し、キャットウォークに輝く。「私は、私たちが失った最高のエレガンスの精神を復活させたい」とアルマーニ。最前列にはエマニュエル・ベアール、ペネロペ・クルス、Claudia Cardinale。インターナショナル・ヘラルド・トリビューンのSusie Menkesはこれを「ムービー・クチュール」と表現した。「私は、アルマーニが行うことを賞賛します。ですから、私は彼の最初のクチュールショーを見なければなりませんでした」とクルス。
お針子さんはヴェルサーチにいた人を雇ったらしいです。思ったよりシンプルでしたね。

CHANEL シャネル
カール・ラガーフェルドのシャネルのモチーフは「18世紀のフランスの庭」。キャットウォークの真ん中にはダブルCのロゴの噴水。現代風にアレンジされた白のシャネルスーツでスタート。前半はライラック、ピンク、クリームと様々なツイードのシャネルスーツが続く。すそが白いマーメードドレスをきっかけに、ゴージャスなドレスが登場。美しいシフォンのプリーツドレスには花や宝石、リボンが彩られる。
最前列にはカイリー・ミノーグ、Joely Richardson、Marianne Faithfull、Anna Mougalallis、Amira Casar、Theodora Richards。「あなたがパリでどこにいるかは重要でないの。それはとても可愛くて、ロマンチックでゴージャス。まるでおとぎ話で、すべての少女の夢よ」とカイリー。
「フランスで、最もモダンなのは、ルイ15世です」とラガーフェルド。

Valentino Garabani ヴァレンティノ・ガラヴァーニ
ヴァレンティノのテーマは「世界ツアー」。Erin O'Connorによるセビリヤに敬意を払ったマタドールスタイルのミニスーツでショーはスタート。スクリーンにはそれぞれに対応する場所が映し出され、赤いサテンのパンツスーツはバンコク、サテンのリボンドレスはレッドカーペットをイメージしたLA。モスクワはゴールデンイエローとベージュのブロケード・コート。ラストはシフォンガウンを着たナオミ・キャンベルが、ストロンボリ火山が映し出される中、登場し、ミラノをメージして終了した。「クライアントが地球の隅々にいるので、それぞれのドレスに世界で最も美しい場所を名づけました」とヴァレンティノ。

Jean Paul Gaultier ジャン・ポール・ゴルチエ
アフリカにインスピレーションを求め、アフリカ種族の仮面や民族衣装の要素を大胆にアレンジしたエキゾチックなドレスを披露。モデルの髪はアフロや鳥のように盛り上がり、カラフルな原色が次々と登場。モデルはメイクに時間がかかるので、会場7時間前に集まるよう指示されたといわれ、エリン・オコナーはサファリ風の片袖ジャケット、リリー・コールやナオミはトロピカルバードをイメージしたアフリカの女王スタイル。単一のダチョウの羽で作られたドレス、ブロンズビーズのドレスなどが登場。ゴルチエはクチュール部門の人員を削減するとともに、クチュールの要素を取り入れた高級既製服のラインを開発する方針。
お針子さん31人を解雇するという話が出ています。ただ、ゴルチエとウンガロは今回のショーから、クチュールとクチュール要素を取り入れた高級プレタを同時に発表するとされていたのが、時間が足りなくて延期しました。次回のクチュールはちょっと違ったものが見られるかもしれません。

LACROIX ラクロア
オートクチュール開催直前にLVMHからファリック・グループへ売却されるとの報道が流れたラクロア(正式発表はショーの後)。一部にはこれが最後のオートクチュールとも騒がれ、注目が集まったコレクション。
ラクロアは青が散ったゴージャスなガウンでショーはスタート。宝石を散りばめたシフォンドレス、銀のコラムドレス、カラーとカフに宝石が縫い付けられたテーラードジャケット。チェックのトレンチ、サテンのイブニングドレス、ラストのリリー・ドナルドソンによるウェディングドレスまで、すべてがゴージャスでありながら、実用的。「シンデレラスタイルのドレスまで着用可能」と評された。最前列には、Simon、Jerome、Leon FalicらのFalicファミリーとその役員。何人かはちゃんとラクロアのタイを締める。

Elie Saab エリー・サーブ
Elie Saabは、7色のドレス、シフォンの流れるようなローブ、オーストリッチに花柄のドレスと少女が夢見るような服が続く。羽毛とスパンコールをサテンとシフォンミックスしたパステルガウン。ツイードにも宝石があしらわれる。

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