「展示会あれこれ」
 コレクションシーズンも終わり、各メーカーの展示会も終了する頃です。展示会というのは、いわば受注会であって、各アパレルにとってこれが、この先半年の雌雄を決するといっても過言ではありません。営業担当者は、バイヤーを招待し、一点でも多く受注してもらおうと、努力します。コレクションは華やかですが、メーカー側から見れば完全な持ち出し企画。宣伝以外の効果はあまり望めません。不況が続く折、東京コレクションの参加数が減っているのも当然です。その分、展示会に力を注ごうというわけです。
 ところで、この時期開かれているのは2003年春夏物なんですが、アパレルだけが展示会を開いているわけではありません。素材メーカーもアパレルやテキスタイルメーカーに対して、展示会を開いていて、それは2003年秋冬物なんですね。そして、季節は今、2002年秋冬商戦の真っ盛り。この業界にいると季節感覚というものがどこかに行ってしまいそうです。
 で、展示会ですが、これもいろいろなものがあります。自社のホールに商品をずらっと並べるシンプルなものから、クエストあたりを貸しきって展示するケースなど様々です。
 お金のあるメーカーは、コレクションさながらにモデルも手配して、このモデルがそのシーズン一押しの服を、次々に着替えながら、会場を回ります。そうしたところではお酒や食事が配られているケースも多いです。
 下着メーカーの展示会では、当然、下着姿のモデルが会場を闊歩します。それがシースルーだったりした場合には、スタイルのいいモデルさんが限りなく裸に近い格好で歩いているわけです。勘違いする人も出てきそうな雰囲気です。
 そこには地方からやってきたおじさんバイヤーもいるわけですね。この場合、対応は2つに分かれます。あくまでも仕事の話を続けながら、こっそりと横目でモデルさんを追うケースと、もう、これはチャンスだと嘗め尽くすように、モデルさんを見るケースです(どっちにしろ見るんですが)。
 まあ、見てるこっちのほうが恥ずかしい感じですが、これも一応仕事です。展示会には他にもプレスやいろんな人がやってきます。
 私が、前にポール・スミスの展示会に行ったときには(ラフォーレ飯倉でしたね)、商品を見ていると、横で朗らかな英語の会話が聞こえてきて、「さすがにポール・スミスともなると外人のバイヤーも来てるのかな?」と思って、横を見ると喋っていたのは、ポール・スミス本人でした。本人が自ら、そのシーズンの服の説明をしていたのです。
 親日家とはいえ、展示会にまでちゃんと本人が来てるとは・・・。
 サインでももらいたかったのですが、一応私も仕事で来ており、英会話にも自信がないのでそのまま、立ち去りましたが、ちょっと感動的でしたね。

[Gin and it 2002.11]

 
 

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