「カルティエ・銀座店」
 道筋にそって、次に登場するのはカルティエである。ここは、芸能人がよく買い物に来る事でも有名だが、並木通りではトップクラスの歴史の古い店である。
  高級宝石店だけあって入り口にはガードマンが常時立ち、自動扉ではないが、入店するときはこのガードマンがドアを開けてくれる。いわば、ドアマン付きなのだ。こんな事で驚いてはいけない。ここは、たとえ驚いたとしても、さも当然のような顔をしていよう。
  さて、今年もクリスマスが近づいてきているが、今年の一押しはどうやら、新発売のプラチナのトリニティらしい。ただ、ここで問題なのはトリニティはその形状から、当然とも言えるがリングのサイズ調整ができないことである。
 私が尋ねると店員は「豊富にサイズを取り揃えていますので、大丈夫です」と答えたが、怪しい・・・。世の中には想像を超えて太い指の人もいるはずだ。口にこそ出さなかったが、怪しんでいるのがわかったのだろうか、店員は笑顔を絶やさないながらも「プレゼントをお送りになる方のサイズはお幾つですか?」と、逆襲に来た。ここで、冷やかしですと答えるのは、私のプライドが許さない。といって、本当のところはただの冷やかしなのだ。仕方がないので「ああ、サイズちょっと解からないんです、調べてまた来ます」と、言って、そそくさと店を出る。
 たぶん、大丈夫だろうが顔を覚えられていたら、当分ここには来れないな。  まあ、いいや。とりあえず、プレゼントする相手もいないし・・・

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