| 「マネキンは時代を映す」 |
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ショップに欠かせないもの、それはマネキンです。普段はあまり、気にすることがないマネキンですが、服をよく見せるのも悪く見せるのもマネキン次第。たまに、服とマネキンのサイズが合っていなくて、背中をピンで留めて、誤魔化しているのも見かけますが、こんなことをされてはどんなに凝ったデザインだったとしても、興ざめです。 また、マネキン自体も首から腰までのものから、全身タイプと様々なものがあり、顔もギリシャ彫刻のようなものから、怒っているようなものまで、じっくり見てみるといろいろな表情を浮かべています。この前、見かけたのはライオンのキレイキレイやプレイステーションのゲーム、「ぼくの夏休み」で有名な上田三根子さんのイラストのような顔のマネキンがあり、マネキン自体は可愛かったのですが、服とはちょっと合っていないような感じでした。 マネキンが日本の百貨店に並び始めたのは1910年頃といわれていますが、マネキンも当然、時代によって変化していきます。日本の場合は食生活の変化などで、体型が欧米型に変化していることもあり、オンワード樫山は、2005秋から展開を始める新カジュアルブランド「ローズブリット」で、新開発したマネキンを使用します。文化服装学院が協力し、女子学生400人の体形を計測して作ったもので、新マネキンは従来のものより肩幅とウエストが若干広く、太くなった一方、ヒップが数センチ細くなっています。 また、新たに団塊世代をターゲットにした販売に力を入れ始めた百貨店では、中高年向けのマネキンを開発しています。西武百貨店池袋店では、2004年から紳士服売り場で従来より10センチ身長が低く、ウエストが89センチの男性マネキンが登場しています。 さらに、ユナイテッド・アローズでは、2004年12月に日本のマネキン業界の先駆者である七彩社とオリジナルマネキンを協同開発しました。レディスモデルは、七彩社がもつプロトタイプをユナイテッドアローズのオリジナル製品の特徴である、肉感的でない、静的な女性美が引き立つよう、肩・バスト・腰周りなどをリサイズ。 独自に開発したフェイスは1920年代のモダンガールのクールな表情・へアースタイルを現代風にアレンジしました。メンズモデルは、リサイズではなく彫刻をデザインするように一からプロトタイプを製作。同社のオリジナルスーツを着用した時に肩から袖のなだらかな美しいフォルムを持ち、ジャケットの袖から除くシャツの幅までこだわったベストなサイジングです。さすが、アローズ。マネキンにまで、こだわりを見せます。 こうした動きは日本だけのことではなく、今、アメリカでもマネキンのスタイルが変わりつつあります。こうした動きの原因となったのがジェニファー・ロペス。そして、マネキンの変更点はヒップです。 かつて、多くの女性の悩みは歳とともに大きくなるヒップの存在でした。ダナ・キャランは女性デザイナーらしく、同世代のキャリア女性のためにヒップを大きく見せない服をデザインし、圧倒的な支持を受けたといわれています。 しかし、ジェニファー・ロペスの登場がこうした状況を一変させました。彼女の魅力的なヒップの存在が、「大きいことは悪いこと」という意識を変えさせたのです。ニコール・キッドマンは「ジェニファー・ロペスのようなヒップが欲しい」と発言し、あの「Sex and the City」のスタイリストで、「プラダを着た悪魔」の映画化で、編集長のミランダ・プリーストリー(Vogueのアナ・ウィントゥアーがモデルとされる)を演じるメリル・ストリープのスタイリングも担当するパトリシア・フィールド(PATRICIA FIELD)までが、「今や大きなお尻はチャームポイント」と語っているほどです。さらにビヨンセの存在が、この流れに拍車をかけ、今や大きなヒップはセクシーさをアピールするための武器ともいえます。 こうした動きは、マネキンにも影響を与えます。ニューヨークでは既に魅力的なヒップをアピールしたマネキンが登場しています、アメリカの大手マネキンメーカー、ゴールドスミス社のクリエイティブディレクターDwight Critchfieldは、「これらのマネキンはセクシーさをアピールしています。より大きくて丸いお尻が魅力的なのです」と語っています。EckoREdは、既に2年前から「J.Lo」と呼ぶマネキンを導入し、売上が3倍になったといわれています。 こうした傾向が日本にも到達すれば、日本女性の悩みも解決されるかもしれません。ただ、そうなるとアジア系女性はラテン系の女性に比べるとお尻が小さいという逆の悩みが生まれるかもしれませんけど。 [Gin and it] |
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Fashion Street JAPAN Press.1998-2005. Fashion Street, Tokyo
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