Martin Margiela マルタン・マルジェラ Belgium

歴史・解説

デザイナー、マルタン・マルジェラは1957年ベルギーに生れる。80年、アントワープ王立芸術学院卒業後ミラノで学び、84年より、ジャンポール・ゴルチェの下で修行を積む。88年、ブリュッセルの小売り業者、Jenny Meirensと会社を創設。88年10月の89春夏パリ・コレクションにてデビュー。シルエットの細いジャケットやボトムを提案し、これ以降の10年間、それまでのゆったりとしたミラノモードに対して、ボディ・フィット(スリム)なシルエットが全盛となったといわれる。その後、病院や駅でコレクションを行い、そこでボロ布を用いた衣装を発表し、注目を集める。コレクションでも、入り口でリボンが配られ、それを手首に巻くとリボンに書かれた文章がつながったり、古着の再生や新しい服の古着風加工など、独自の視点からの服作りを行う。90年代には逆に「大きめの服」を発表。94秋冬から大柄の女性と男性用に「XXL」サイズ開始。1998春夏ではコムデギャルソンとのコラボレーションを行う。98年から「エルメス」のレディス・プレタポルテのデザインも担当。98秋冬ではマーク・ボドウィックによるビデオ・プレゼンテーションやジェーン・ハウが人物大の人形を使って表現したインスタレーションを行う。99春夏からメンズラインスタート。2000年9月に世界初となる路面店を恵比寿にオープンした。2002年、青山店、2003年8月大阪店オープン。

2002年、ディーゼルの所有者レンゾ・ロッソに買収される。

2004年春夏シーズンからレディスの新ライン「4」の販売を開始する。「4」は「6」よりも高価格の設定となる予定。2005春夏からベーシックライン「14」、2005秋冬からアクセサリーライン「11」、シューズライン「22」をスタート。2008年2月サングラスライン「L'INCOGNITO」デビュー。「匿名」という意味で目張りのようなフォルムが特徴。ナンバーは「8」。

2008年、設立20周年を記念して、イタリアのジュエラー、ダミアーニとコラボレーション。11月にイアリング、リング、ペンダントなど14個のコレクションを発売する。ナンバーは「12」。さらに、アントワープのモード博物館で2009年2月8日まで設立20周年を記念した回顧展「Maison Martin Margiela (20)」を開催。

2009年にはロレアルと共同で初のフレグランスを発売予定。ナンバーは「3」。2009年にはR.E.MのMichael Stipeがメゾン・マルタン・マルジェラのためにスターリング・シルバーのマイクロカセットを制作。「マイクロカセットはジュエリーとも美術品としても定義することができません。それは同時に両方の意味を持ち、所有者が望む方法で着用することも表示させることもできます」とマルジェラのスポークスパーソン。マイクロカセットは199個限定。それぞれにStipeのサインがつけられる。

2009年10月、2010年春夏パリコレクションの発表後、メゾン・マルタン・マルジェラの大株主であるディーゼルのRenzo Rossoが、もはやマルタン・マルジェラ自身はデザインに直接、関係していないことを明らかにした。2010年春夏コレクションはマルジェラが指名したデザイン・チームが手がけているという。「マルタンはもう、長い間ここにはいません。しかし、彼のスタイルはここにあります。私たちは新鮮なデザイン・チームを持っています。私たちは将来の若く現実的なエネルギーに注目しています。これは2015年のマルジェラです」とRosso。ハイダー・アッカーマン(Haider Ackermann)が後を引き継ぐという噂が流れているが、アッカーマンは断ったという情報もある。

NYタイムズによるとマルジェラは2008年にラフ・シモンズに後を引き継ぐよう、依頼したがシモンズはジル・サンダーを選び、ジル・サンダーと3年間の契約を更新。その後、新デザイナーの探索を始め、ハイダー・アッカーマンと交渉したが断られたという。一方で、マルタン・マルジェラは契約上、無期限にクリエイティブディレクターを務める義務があるという話もある。

以前から、マルジェラ本人はもうコレクションを手がけていないという噂はあったが、非公式には2008年の20周年ショーがマルジェラの最後のコレクションで引退ショーだったとされている。当面はデザインチームで行うようですが、2010年春夏の評判があまり良くなかったため、Rossoは考え直すのではないかという指摘や、ファッション産業にありがちなサングラスや香水を開始し、商業的に走っているRossoとマルジェラの不仲が原因という話もある。

ただし、これらのことに関してメゾン・マルタン・マルジェラの正式なコメントは「長年の方針によって、私たちはそのようなレポートや質問に関してコメントしません」というもの。

2009年12月、メゾン・マルタン・マルジェラはマルタン・マルジェラに代わるような後継者は指名しないことを明らかにした。「私たちは新しいクリエイティブディレクターなしで、アヴァンギャルドで刺激的なブランドであり続けたいと考えています。それは挑戦です。私たちは恐らく誤りを犯すでしょう。しかし、最も重要なことはそれらから学ぶことです。私たちは、メゾン・マルタン・マルジェラなのでマルタンの代理を起用しないという結論に達しました。マルタンは、デザイン・チームに『あなたは私よりマルジェラです』とよく言っていました」とメゾン・マルタン・マルジェラの最高経営責任者、Giovanni Pungetti。

2009年末、ボルドー近くのホテル、Ile aux Oiseaux at Les Sources de Caudalieのスイートをデザイン。ホテルはスミス・オー・ラフィット(Smith Haut-Lafitte、グラーブ地区最高のシャトーの一つとされるワイン)のシャトーに10年前にオープンし、宿泊客はレストランでワインを飲み、併設されたスパで温泉療法を楽しむことができる。マルジェラのデザインしたスイートは裸電球のライト、アンティークな鏡などクラシックなマルジェラ・スタイルが施され、木製のバルコニーから見えるブドウ畑とアバンギャルドな内装が対比するように装飾されている。

1994年から展開されているAIDS チャリティTシャツに2010年は初の非英語版として日本語版が登場。Tシャツの前面から背中の裏にかけて(着用した場合は背中の部分が隠れ、あえて読みにくくなっている)日本語で「するべき活動はもっとあるが、このTシャツを着ることは良い始まりだ」と書かれている。Tシャツは世界エイズデーの12月1日に発売。収益はHIV/AIDSとの戦いを主な活動とするフランスのAIDESに寄付される。

2011年4月1日にリニューアル・オープンするMaison Champs-Elyseesホテルで7つのスイート、10のゲストルーム、ジュニア・スイート、デラックス・スイート、フル・サービスのスイート、レストランにラウンジバーを含む一階の57部屋をデザイン。「パリで最初のホテル・プロジェクトとして、別のメゾンを再解釈することができて、メゾンはうれしく思います」とマルジェラの匿名の代表。Maison Champs-Elyseesは1866年にRivoli公爵夫人によって設立され、モンテーニュ・アベニューやグラン・パレから数分の場所に位置する。

2011年秋冬、MM6メゾン・マルタン・マルジェラでオープニング・セレモニーとでコラボ。マルジェラのショップとオープンニングセレモニーで9月から発売される。

2012年11月15日、H&Mとコラボしたメンズとレディスウェア、アクセサリーを全世界のH&M店で発売。マルジェラは「私たちのファッション民主主義は常に私たちの創造力の中心にありました。H&Mとのコラボは私たちがより遠くにこの本能を押すのを許します。私たちはすべてを驚かせる方向で、2つのハウスの対照的な宇宙をまとめます」との声明を発表した。

いわゆるシャビー・ルックの旗手として従来のモード界に新風を巻き起こし、以後グランジファッションの元祖的デザイナーとしての地位を確立した。ベルギー出身のアントワープ派デザイナーの中では別格の存在とされている。シャビールック(shabby look)とは高級志向の1980年代のアンチテーゼとして、マルタン・マルジェラが80年代の終わりに打ち出した貧困者風のスタイル。色あせたり、ほつれたり、わざと古着風に仕上げるなど、新しい価値観をもったファッションが注目され、90年代の新しい流れを作り上げた。90年代中頃までは普通にインタビューも受け写真も撮影されたがそれ以降、基本的にインタビューは受け付けず、メディアへの対応はファックスなどによるアンケート形式をとる。その署名もすべて、「Maison Martin Margiela」で複数形となっている。

マルタン・マルジェラは数字にこだわっており、コレクションラインも数字ごとに分かれている。0-23の有名なカレンダータグに該当する数字に○が打たれ、
「0」はアルチザンコレクション
「1」はレディスのコレクションライン。
「3」フレグランス。
「4」レディスのワードローブ。
「6」女性のためのベーシックな服。
「8」アイウェア。
「10」メンズコレクション。
「11」アクセサリー。
「12」ジュエリー。
「13」オブジェや出版物。
「14」メンズのワードローブ。
「22」シューズ。

また、「9」がラッキーナンバーであり、フランスでマルタン・マルジェラを展開する会社はフランス語の「9」を意味する「ナフ(neuf)」と名づけられ、これに準じて日本での合弁会社は日本語で「9」を表す「ここのつ」から「ここのえ」と名づけられた。

日本ではワールド子会社のオリゾンティを経て、マルジェラを展開する仏ヌフ(パリ)、三菱商事、オリゾンティが共同で設立した「ここのえ(マルタン マルジェラ ジャパン)」によって販売されている。

2006年恵比寿の旗艦店を移転、リニューアル。より広くなった、ショップは工場だった造りを生かしながら、内装は以前と同じ白を基調に、コンテナや浴室があったり、天井からはチェーンが吊り下げられていたりと斬新なデザイン。

公式サイト

Maison Martin Margiela

ショップリスト

旗艦店
恵比寿店 メゾン・マルタン・マルジェラ・トウキョウ
東京都渋谷区恵比寿南2-8-13 Tel 03-5725-2414 営業時間 12:00(土・日・祝11:00)〜20:00 無休
工場を改装してオープン。紳士・婦人服、靴、雑貨などすべてのラインがそろう。

直営店
青山店 東京都港区南青山5-3-10 Tel 03-5778-0891
2002年には恵比寿に続いて2店目となる直営店が南青山のフロムファーストビルに登場。世界で4番目。オフィスビルの一角をブティックに改装し、ショーウィンドウも看板もなく、恵比寿と同様に隠れ家的な雰囲気。パリや恵比寿と同様の真っ白の空間で、レディスのコレクションラインとアルチザンライン(手仕事でフォルムを作り直した服)のみ扱う(メンズは青山では展開していません)。店内は吹き抜けのサロンで。ゆっくりと服を選ぶことができる。婦人服を中心にオブジェや出版物も取り扱う。

大阪店 大阪市中央区南船場3-2-6
昭和5年に立てられた、シックな歴史のあるビル、大阪農林会館の202号室。

仙台店 宮城県仙台市青葉区中央2-8-26 TEL 022-723-6684

百貨店内インショップ
レディス
新宿伊勢丹店本館4F 東京都新宿新宿3-14-1 Tel 03-3352-1111
メンズ
新宿伊勢丹店新館3F 東京都新宿新宿3-14-1 Tel 03-3352-1111

パリ店 パリ1区のモンパンシェ通り25bis パレ・ロワイヤルの西側のモンパンシェ通りとリシュリュー通りに挟まれたエリア
世界で2番目の直営路面店。1943年に建築された一軒家を改築し、英国調の複製家具のショールームとして使われていた空間を、白い空間に作り上げた。

Home | Brand Index